金大の講義も第3クールの最後の講義となる。早いものでもう1か月半になる。今回は、前半は「高学年の教材研究のコツ」を伝え、後半は「自動車社会の未来」と題して、4つの未来型自動車の在り方についてどう自分なら授業化するかについて考えてもらうことにした。
まずは、「高学年の教材研究のコツ」である。主に4つについて話をした。
① 教師の感動を軸にして、単元のストーリーを描くこと
② 授業のネタや資料は、図書館の「児童書」こそ宝庫である!
③ 教科書を教えるのではなく、教科書で教える!
④ ストーリーの源は、いい指導案3つからよい所どりすれば出来上がる!
これら4つのコツは、すべて私の体験から導き出したものである。学生たちは、何でもネットで調べる習慣があるみたいだが、➁番の「児童書」がネタの宝庫という点に学生たちは驚きの表情を見せていた。児童書のほうが内容が精選されていて、圧倒的に分かりやすい。そして、すぐに資料として使える一級品揃いである。ぜひ現役の先生方もご活用いただきたい。
後半は「未来の自動車社会」について、次の4つのクルマから選択させて、授業化を考えさせた。
❶ 水素エンジン自動車
➋ 自動運転カー
➌ 空飛ぶクルマ
❹ カーシェアリング
当然、学生たちはこの4種類のクルマの内容や形態については基礎知識がなさすぎであるため、❶~❹の内容がぱっとみて分かる動画を4本見せることにした。
❶の水素エンジンは日本のトヨタが世界ナンバーワンレベルの完成度である。エネルギー問題や気候変動問題へ寄与するものとして画期的なクルマと言える。電気自動車だと、日本のガソリン車のエンジン部分が使えなくなり、関連工場が壊滅的な倒産に至る可能性がある。しかし、水素エンジンであれば、これまでのガソリンエンジンを温存しつつ使用できるため、自動車製造関連会社の継続が可能となる利点もある。
➋の自動運転カーもレベル4まで来ている。レベル4とは、人が運転しなくてもほぼ大丈夫なレベルまできているということである。最高度は、レベル5。完全自動運転である。これはまだまだ法制度の完備ができていないため、もし事故が発生した場合の責任をだれがとるのか、意見が分かれるところである。しかし、高齢社会、障害のある方にとって、自動運転は魅力的なクルマと言える。
➌の空飛ぶクルマ。これは、来年の大阪万博でもお披露目らしいが、開発競争は激しいようだ。ドローンのような水平に離着陸する型のものから、飛行機のように滑走路を飛び上がる羽根つきのものまで、いろいろな形がある。夢のある車であるが、空の交通規制をどうするかが大きな課題となる。安全面でも課題が残ることも付記しておく。
❹は、車そのものではなく、車社会の在り方としての選択肢の一つとして挙げたものである。レンタカーとは違い、24時間受付でき、ガソリンも入れることもなく、15分単位で低価格で新車同然のクルマを利用できるシステムである。学生たちは、「すぐに利用したい」という若者も多くいた。車は、購入すると維持費がかかり、決して経済的とは言えず、都会や旅先での利用においては、おススメのシステムと言える。
これら4つを選択させ、どのような課題で授業化するか、レポートに書かせて授業を終えた。
学生の感想レポートを一部紹介したい。
「私は自動運転カーを第3次に入れ込んで、<自動運転カーのメリット・デメリットを考えよう>という課題で授業に臨みたいです。自動運転の動画を子どもたちに見せた後に、グループになってメリットやデメリットを出し合う。そこで出てきたデメリットについて解決策を考えるところまで授業として扱いたいと思います。また、不登校児の増加について、通信制の学校やオンラインの授業の普及により、学びの形が多様化することはよいことだと思っていましたが、〝自立〟おちう面を考えると、がっこうの責任は大きく、学校として教師としての役割を真剣に考える必要があると感じました」
「今回の質問コーナーにあった〝これまでの受け持った子供の名前と顔を覚えているか〟に対して、どこかで出会ったら確実にわかる、と回答されていたことに、すごい!と思いました。そして、〝教師っていいな〟と感じました。子どもと関わりがなくなった後もどこかでたくさんの子たちの成長を感じられるかもしれないと思うと、ワクワクしました。また、自動車工業で示された4種類の中で、私は自動運転カーを取り入れたいと思いました。なぜなら、四つの中で最も多くの人々に身近な技術だと思うからです。この車の認知度は90%を超えてますし、子どもたちも身近で思考しやすいと思います。事故が発生した時の責任をどこが取るべきかは、ディベートで討論させたいと思います。思考を多角的にさせる意味でも有効かと思い、これを題材に選びました。」
ちなみに、〝質問コーナー〟は、講義初めに行う学生とのQ&Aです。今回は10個以上の質問があり、30分近くかかりましたが、学生さんは現場への関心が高く、質の高い質問が飛び交いました。
さすが金大生です(^^)/
さて、次回は、第3クールのまとめとして、初の〝テスト(課題レポート)〟です。学生たちは、どこまで書いてくるか・・・今から楽しみです(^^♪
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