松下幸之助の「子育て論」④

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「ああよしよし」より「できることは自分でしなさい」と教える。

それこから、「自立した心」が育まれてくるのです。

               『親として大切なこと』(PHP文庫 松下幸之助)より一部抜粋

 

 家庭の教育、子どもの教育にも一つの道がある。その道に沿った教育に成功しなくてはならんという感じがいたします。

 ある一つの家庭では、子どもがお母さんに、

 「お母さん、それちょっと取ってちょうだい」

 「ああ、よしよし」

 と言って取っておられる。これも悪いとは言いません。

 しかし、ある家庭では、

 「お母さん、それちょっと取ってちょうだい」

 「あなたはもう大きくなったんやから、そういうことは自分でするんですよ。あなたのできないことは、お母さんがしてあげますから言いなさい。こういうことは、あんた自身でやるんですよ。また、お母さんだけでなく、人に頼んでもいけませんよ。それは自分でやるのですよ。」

というようなやり方。どちらがいいかということは諸説ありましょうが、そういうようにやっていると、自分のことは自分でしなければならないと分かる。そこに自主独立の精神というものができてくると思うんですよね。

 何でも「ああ、よしよし」と言って取ってやる教育の仕方と、自分のことをさせていく教育をしている家庭と、どちらがいいか。

 今、どちらをよしとしているか、私はよく知りませんが、私であるならば、あとの方がいい。そういうことをしなくては、子どもは健全に育つことはできないと思います。

※松下幸之助氏は「人生も経営である」と考えていました。経営である以上、自立していなければならない。そして自立した人々が集まり、協力することで社会はよくなり、個人もまた生きがいのある人生を送れるということです。自分の幸せを他に頼るのではなく、自分で作りだせるように育てることこそが大事だということです。

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『編 集 後 記』

 今の親御さんは、お子さんの言うことを全部鵜呑みにする傾向があります。

 「先生、うちの子が〇〇と言っているのですが、これはいじめじゃないんですか」

 「先生、うちの子、〇〇のせいで、学校行きたくない、と言っています。どうしてくれ

んですか!?」

 心配な気持ち、我が子を思う気持ちは、よく分かります。しかし、子どもも知恵者です。自分の都合の悪いことは言いません。親を味方につけることで、したくないこと、いやなことをあわよくば回避したいという思いが根っこにあることが多々あります。

 また、デジタル社会が浸透するにつれ、結果を早く求める傾向が日に日に強くなっている傾向があります。パッとクリックすれば、パッと結果が出る感覚が強くなっているのです。

 しかし、人間はしょせんアナログです。デジタルではありません。成長や解決するまでには時間がかかります。特に、子どもの心の中にある〝闇〟の部分や生まれながらに持つ〝特性〟に関しては、時間をかけて寄り添い、粘り強い支援し続けることが必要となります。

 自立には時間がかかります。その自立の姿を親御さんと共有することが、今の教育現場ではとても難しいと感じています。

「この子にとって健全な自立の姿とは何か」について親御さんとともに見守っていける関係性を保持していくためには、やはり「自分自身が自分の人生という会社の経営者である」

という松下幸之助氏の人生観が、必要ではないかと痛切に思っております。

 保護者からの訴えが、そろそろ増えてくる時期でもあります。何かありましたら、いつでも弊所にご連絡くださいね。何らかの形で応援したいと思っております。

                                学校のミカタ・松下教育研究所

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