このブログを書く際、いつも『内外教育』を見ます。すると、私の師匠(と勝手に決めつけている)である小野田正利氏の〝モンスターペアレント論を超えて〟の記事で、目を見張るものがありました。(令和6年2月16日号の特集)
それは、「今の学校が抱えている保護者対応トラブルの多くの原点は、〝子ども自身の意思を尊重する〟ことに立ち返ることにある」という一節です。
昨年、4月に制定された「子ども基本法」が大きな武器になるのです。具体的にいうと、次のような条文です。
(第3条)
1 すべてのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取り扱いを受けることがないことにすること
3 すべてのこどもについて、自己に直接関係するすべての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること
4 すべてのこどもについて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること
(第7条)
国民は、基本理念にのっとり、子ども施策について関心と理解を深めるとともに、国または地方公共団体が実施する子ども施策に協力するよう努めるものとする
これらの条文の赤字の部分をうまく活用し、
「親御さんはそのようにおっしゃいますが、子ども本人の意思や気持ちを尊重しませんか?」
という子ども原点に立ち返った視点で、子どもそっちのけでエスカレートしてしまいがちな保護者に一本釘をさすことができる、というのが、小野田氏の論調です。
保護者は、過去の出来事にこだわり続ける傾向が強い中、子どもは今を大事にしながらも、これからどう生きていくかを展望する存在であり、学校は過去を振り返りつつも、これからを考えようという志向のため、どうしても保護者とのズレが生じてしまいます。
だからこそ、学校側は、子ども本人から「これからどうしたいのか」について徹底的に聴きとりをして、それを親御さんに提示することをしていけばよいのです。もちろん、学校もきちんと保護者の心配する事案が起きないように徹底して見守っていく、という姿勢を示した上です。
大人の問題となってしまった保護者トラブルですが、原点である「子ども自身の思いや希望を尊重する」ことに戻すことで、混迷する事態が少しでも解決に向かえばいいな、と心から願っています。
やはり、学校は「子どもが主人公」なのですから、子ども中心に建設的に話し合える学校と保護者との関係でありたいものです。
詳しくは、『内外教育』2月16日第7141号をご覧くださいませ。
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